100年石と向き合ってきた私たちが、「木」で骨壺を作った理由。
私たちは奈良県葛城市にある創業約100年の石材店です。長年石材店として多くの方々のお墓を作り、供養をお手伝いしてきました。
その中で感じることは、残された方、先に旅立たれた方、その背景には様々な想いがあるということです。
近年お客様から聞こえてくるのは「お墓を継ぐ人がいない」「子供に負担をかけたくない」という切実な不安ばかり。
残された者にとって 心の拠り所 でもあったお墓ですが、今では悩みの種となっていることも多く「墓終いせざるを得ない」「お墓を持たない」という選択をする方も増えました。供養のかたちが変わってきていることを実感しています。
お墓がなくなることは、大切な人を想う 心の拠り所 まで失われてしまうことではないか、私たちにはそんな危機感がありました。
時代の流れの中で、供養のかたちは変わっても、変わらない人々の想いがある。その想いはつなげていきたい。
この時代に 心の拠り所 になりうるものとはいったいどんなものだろう。
そんな想いから「もっと気軽にお墓を持つことができないか」 「お墓を外に建てるのではなく、暮らしの中に迎え入れることができないか」と考えるようになりました。
はじまりは友人からの依頼でした。
実母の遺骨を引き取ることになった友人から、お墓を持たない方法での祀り方について相談がありました。後継者がいないためお墓は作れない、手軽であることから自宅墓の依頼がきたのです。
リビングに小さな石の自宅墓が迎え入れられると、大学生の娘さんが、自然とお線香を供えるようになったそうです。
そんな様子を聞いて、率直に「手軽」って大事だなと思いました。 日々忙しく暮らす、これからのお墓を持たない人にとっては「手軽」「身近」が必要だと。
ただに気になったのは「石の重さ」でした。例えば高齢の女性が、自宅に届いた石の自宅墓を設置しようとしたときに、13㎏もある商品を持ち運べるのだろうか?
もっと負担なく、暮らしに馴染むようなものができないか模索し始めました。
はじめは石に似た異素材を試してみようと思い、いくつかの業者を回ってみましたが、納得いくものにはなりませんでした。
持ち運びが容易で、自由な形が作れて、温かみがある素材…
100年石と向き合ってきた私たちですが、石に捉われるのをやめよう、別の素材にも目を向けてみよう、と思った時に辿り着いたのが「木」でした。
木に触れた時の安心感、そして香りに自分自身とても癒された経験が想起し
木なら全てを兼ね備えたものができると確信しました。
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ブランド『shion』が生まれるまでー
木で『いつでもお参りできる室内専用の骨壷であり、お墓』をつくろうと決めた私たちが素材に選んだのは、奈良県吉野の「吉野ひのき」でした。
日本最古の林業地として知られる、奈良県吉野。
緻密な年輪と美しい色合いが特徴です。
その年輪には、五百年という歳月をかけて山を守り、木を育ててきた人々の情熱と、自然の恵みがつまっています。
この「吉野ひのき」で骨壷を作ってくれる作り手を探し、訪ねたのは、奈良県の川上村の山間に拠点を構えるMoonRoundsの渡邉さんです。
木と対話し、自然と心地よく調和して暮らし制作をしている渡邉さんの手から生まれる作品は、素朴でありながら、洗練された美しさがあります。
100年〜200年の長い間ゆっくりと愛情深く育った木を選び、彼の手によって一つひとつ丁寧に削り出されていきます。
デザインは、五輪塔が素になっています。
’’人は生まれ、生き、いずれ死ぬ。この当たり前の流れ中に、お墓、供養がある。
天地自然の摂理の中の いのちの循環を想い、手を動かし、生まれてきたものがこのカタチでした’’
と渡邉さんは語ってくれました。
五輪塔とは、この世界のあらゆる物質や現象を構成する5つの要素(地・水・火・風・空)を体現する伝統的なお墓・供養塔で、日本発祥の形と言われています。
平安時代に僧侶が布教活動をするなかで、高さ15cm程の小さな木製の五輪塔を持ち、極楽往生の象徴として説きました。そうして庶民の間に広まりました。
古代より「生物は死んだら自然へ還る」という自然の摂理があります。五輪塔を建てることはきっと、亡くなった人が自然の一部へと安らかに還っていくことを視覚的に表現する装置だったのではないかと思います。
『骨壷SHION』は、日本に古くからあるこの伝統的な形を、現代の空間に調和するようにデザインしました。
私たちはいずれ死に、土に還るように、この木の骨壷もまた、土に還る循環の中にあります。
大きな循環の輪の一部であるときに、木であることは、とても自然な要素でした。
お骨袋にもこだわりました。
ブランド名shion(紫苑の花)をイメージした薄紫色は、 飛鳥時代から伝わる薬草・蘇芳(すおう)で染めています。
奈良県の山奥で、四季折々の樹木や草花、美しい水や山の恵みを愛で、機を織り、染め物をしている 染織工房 空蝉さんにお願いしています。
草木染は古来から、色を付けるだけでなく植物の持つ薬効で身を守ることも目的とされていました。また蘇芳は故人への敬意と、深い慈愛を表した色でもありました。
植物の持つ薬効で「故人を大切に守り、その魂が穏やかであるように」という願いを込めています。
この美しく染め上がった布を、見えない細部まで丁寧に
奈良県の ハンドメイド作家PinkRoseさんが手仕事で仕上げてくれています。
パッケージも奈良県の事業所にお世話になりました。
精密性を追求し高い技術力をもつ岩谷容器さん。
私たちを含め岩谷容器さんにとっても初めての、独特な形のパッケージ。
しかも中に入るのは特別なもの。
親身に相談にのっていただき、試行錯誤の末やっと形になったので
骨壷やお骨袋同様にとても思い入れのあるものです。
そして、私たちの想いを1本の線に乗せ、形にしていくために伴走してくれたのが、吉野町在住のデザイナー、ナツマヤさんです。
誰よりもブランドの未来を信じ、熱量を絶やさない姿が周囲を動かしてくれました。
この骨壺は、単なる「入れ物」ではありません。
私たちは「骨壷SHION」を、大切な方のぬくもりある終の棲家にしたい。
そして、残された方にとって 心の拠り所 になるような、大切な方との絆を繋ぐものでありたいと願い、
奈良県の作り手たちとひとつずつ丁寧に、手仕事で制作しています。
今思うとそれは、私たちにとって祈りのかたちでもありました。
30万年前のネアンデルタール人の時代から、人は死者を埋葬し、祈ることで自らの存在意義を見出してきたと言われています。 時代は変わり、供養のかたちも変わり、お墓を持たない選択をしたとしても、私たちには祈る時間が必要です。
ふとした時に手を合わせてみる。
骨壷に触れてみる。ぽつりと話しかけてみる。
それは、悲しみがいつか安らぎに変わるための、大切なプロセスだと私たちは信じています。
自然と流れていく暮らしの中に
その人らしいあり方で、想うがままに祈る時間。
そんな時間を『shion 』は大切に考えます。
『骨壷SHION』が、大切な方との目に見えない絆をつなぐ新たな供養のかたちとして、 お選びいただけたら幸いです。
骨壷 デザイン・制作:
MoonRounds(奈良県川上村)
お骨袋 染色:
染織工房 空蝉(奈良県東吉野村)
お骨袋 縫製:
ハンドメイド作家PinkRose(奈良県御所市)
BOX制作:
有限会社岩谷容器(奈良県桜井市)
ブランドデザイン:
ナツマヤ(奈良県吉野町)
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企画・運営:
株式会社磐城( 奈良県葛城市 )
ブランド名『shion』の由来ー
今昔物語集などに収められている「萱草(かんぞう)と紫苑(しおん)」というお話があります。
昔、仲の良い兄弟がいました。二人は父親を亡くし、毎日お墓参りをして悲しみに暮れていました。
やがて月日が流れ、兄は「いつまでも悲しんでいては身が持たない。父を忘れて自分の生活を大事にしよう」と考えました。兄はお墓に、見ると悩みや悲しみを忘れるという「萱草(ワスレグサ)」を植え、それからはお墓参りに来なくなりました。
一方、弟は「父を忘れることなんてできない。一生、父を思い続けよう」と心に決めました。弟はお墓に、見ると人を思い出すという「紫苑(オモイグサ)」を植え、雨の日も風の日も欠かさずお墓参りを続けました。
弟の深い慈しみに感動したお墓の守り神(鬼)が、弟の前に現れ、「お前の孝行心に心打たれた。その紫苑の力で、お前にはその日に起こる良いことや悪いことが事前に予知できる力を授けよう」と告げました。
その後、弟は幸せに暮らしたといいます。
この物語にでてくる「紫苑(オモイグサ)」から
ブランド名『shion』を名付けました。